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【読書】クレイジーで行こう!



ある朝、母が言った『なんかおはよう日本でね、アメリカの水道管を検査するってのをAIでやってる人がいるんだって、言ってるよ。日本人なんだって。』


うん?うん。えっと、なんだっけ?


なんかちょこっと調べて、『あー、この本作った人、知ってるわー、今度、本買ってくるよ。』


母は『じゃー読み終わったら、貸してね。』


そうそして、私は、その本をいま、読み終わったの。


実はこの編集者さんを私は知っている。


五年前に遡る。
仲良くしている日経BPの営業さんが、『ぷぅねーさん、海外で仕事されるんですよね。最近出たご本なんですけど、ぜひ読んでください。』


と言ってプレゼントしてくれたのだね。


「アジアで働く、今はその時だ」の感想


その時、渡された本を編集したのが今回のご本と同じ編集者さん。

ブログ読んで、改めて、まじかー台湾、渡って一週間の時点で読んでるわけかーちょっとその頃のことを思い出したりする。



編集者さんも直接お会いしたことがあって、知っているんだけれども。
それで、まぁ、上のアジアの本の頃、もし私が本を書くときがあったら是非編集をお願いしたい1人だわーと、やんわり思ったのを今でも思い出す。
(ちなみに、本を出すと言った予定は全くございません。はははっ。)


ここで、冒頭、母の言葉に戻る。
そうだ、この人、、、この人の本、、、あの編集者さんが作ってたご本の人だ。


本が出てから少し経っていたので、大きな本屋さんに行って、平積みされたりはしておらず、しかも、表紙イメージは結構かわっていたので、本のイメージは焼きついていたものの、題名が思い出せず、著者さんの名前も思い出せず、なんとなく『水道管、AI、おはよう日本』みたいなキーワードで適当に検索して、著者さんを見つけて、今度は本の検索をして本屋さんで買う。
みたいなことになったわけ。


発売された時に、すぐ買っておけばよかったやん。
と、少し後悔した。





このご本、なんか見た目、ビジネス書っぽくないでしょ。
このイメージだけ、すごく残ってて、『そうだよ、ビジネス書の棚で、らしくない本探せば見つかるんじゃない?』と思ったけど、結局、行った本屋さんが大きな本屋さんで、そんなことは叶わずだったり。


なんとも言えない気分で必死に探しました。


いやー、編集者さん買いを推奨してる私的には、編集者さんで検索できる方式でお願いしたいレベルだったりする。


さて、ここまで、本の内容に触れてないけれど、激動の1000日間が実は私の台湾での仕事の期間と丸かぶりで、それもあって、随分と心の動かされる本だった。


ビジネス書、結構読んでるんで言いますけど、だいたいなにかがうまくいって本を書いてる経営者さんたちは、多かれ少なかれ、『成功したのにはわけがある』と書くんです。


バタバタしてたり、すごく苦しんだ経験の先にある『うまくいったこと』だけが浮き彫りにされて、そこに向かって最初っから一直線でしたという物語になる。


これ、みんなそうなってる。
なぜなら、後からそれを思い返して書いてるから。


それが悪いというんではなくて、そういう本になっちゃうのを散々読んだ挙句にこの本を読むと、『違う』というのがわかるし、その違いを出すということを目的に連載されたものが編集されて本となって出ているので、本当に違うの一言。


連載してたって書いてあるのに、なんで私はこの人の話を全然知らなかったんだろうと思ったら、同じ頃、この著者さんである経営者さんと同じように、規模は全く違えど、私は台湾で戦っていたんだった。


著者さんの略歴にもあるけれど、著者さんが作ったフラクタという会社の株式の過半数を栗田工業に売却し、資本業務提携をした2018年5月30日、私は台湾から日本に戻ってきていて、しかも古巣の企業に再就職(戻れるようにしてたわけじゃなくて、完全に辞めたんだけど、ご縁あって、入れてもらったと言うね。最近、流行りの出戻り社員)し、6月1日から仕事をはじめるという直前。


そんな感じの私がこの本を読んで思った感想が『ほかの成功物語とは違う』ということ。もちろんテレビで取り上げられたことはすごい功績で、すべては成功の元にあるんだけど、そうだと思って読んでたら、心が動かされて、通勤の中央線と横浜線で、意図せず涙が止まらなくなることが何度もあったわけ。


それは、『ぷぅねーさんが感受性豊かなんですね』とかいうことではなくて、時に自分と重ねて、時に自分とは重ならない大きな次元での悩みと情熱が、文章から伝わってきたからに他ならない。


だから、やっぱりほかの成功物語とは違うってことになる。



面白いことは、ほかにもある。


経営者の方のご本は、先に言った通り、たくさん読んでいたりする。
こんなブログ書いちゃうくらいなので、結構、まぁ、経営者さんに関わらず、本の著者さんも知っているんだけれど、実は本を読んで、『ムッチャこの人に会いたい』と思う人はあんまりいなかったりする。(いやー、ほんとすみません。)


本が出来上がる過程において、編集者さんの役割みたいなのが大きかったりして、むしろ編集者さんで選んで買うとハズレ少ないみたいな変な知識だけが増える。


思い返してみると、経営者でこの人に会いたいと、本を読んで強烈に思ったのは、元ライフネット生命の出口さんで、それ以来ものすごく久しぶりに、読んで数ページで『あっ、この人に会いたい!』と思ったのよね。


強烈に思ったものの、忙しい経営者さんであるので、べつに本を売るためにプロモーションしたり、セミナー開いたりしなくて、きっとこのマシンラーニングとも言えるツールを武器に『製品を売る』そして、アメリカ、世界のインフラを整えると言ったことでもっともっと有名になるはずで、その戦場はまた日本にはなくて、なかなか難しいかもしれないなぁと思いつつ。
まぁ、会いたいと言い続けたり、思い続けたら会えるかも知れないと密かに思ってるわけだったりする。


会いたいと思わせるほど、この人にはなんでこんなに強い言葉で語りかけるんだろう。


ジェットコースターのように脳に響く言葉の数々で本を離せない。


そんな本、お行儀の良い経営者では書けないし、本が刊行されたタイミングを考えても、成功が約束された後に、振り返って書いたのでは書けない。


さながら規模が違えど、私が台湾でガツガツやって、時に悩んでいた頃に重なる。


そして、また、思い出したように目頭を熱くしたことがたくさんこのご本の中にあった。


読みながら、この本はそういう海外の人と、現地で仕事したみたいな体験をしたことがない人にも、この熱さのままで届くんだろうかと疑問に思ったり、途中、要所要所出てくる要の言葉は、アメリカでの彼の仕事を鑑みると、日本語であろあはずもなく、ほんとはどんな英語で語られたことなんだろう?むしろ英訳版が読みたい!と思ったり、大変忙しい本だった。


その中でも文字通り号泣した言葉がある。
それは著者の加藤さんが語ったことではなく、一緒に会社を切り盛りしていたラースさんが語った言葉だった。


日本のどこかにいる、変わった人を
「情熱ある人たちを、どのように集めるか?」についてだ。話の発端は、ランチを食べながら、「なぜ、このシリコンバレーには、こんなにも情熱のある人たちが集まるのか?」とラースさんと話したことだった。


そして、ラースさんは言う
「もし目の前にいる人たちに情熱があると思えなかったとしても、加藤さんがガッカリする必要はないよ。情熱のない人たちを、情熱のある人たちに変えることは難しいんだ。

ただ、日本にも、加藤さんのように変わった人、情熱を持った人がきっといる。もともと情熱のない人たちに火を点けてまわってもダメだ。そうじゃなくて、既に日本のどこかに存在する。変わった人たち、情熱のある人たちを探すんだ。
加藤さんが、情報を発信する、誰かと話をする。もし相手が変わった人であれば、その人に情熱があれば、きっと気づく。向こうから寄ってくるさ。そう言う人を仲間にするんだ。そうすれば日本発でも、きっとシリコンバレーで戦うことができるはずだ」



ここを読んで、勝手に台湾に行って、家族の事情で日本に帰ってきて、古巣の大企業に再就職した私は、中央線で号泣する。


仕事をしながら、情熱が感じられないと、窮屈な思いをしていたところだった。


スピード感が足りないし、指示が緩かったら誰も聞かないじゃん
って言いながら、走っていた。
それでも大企業で、私にはaccountabilityがなかった。
だから、それを持ってる人に懇願する。でも、そこに響かないのだ。


なんでだろうって思ってた。


ここで、情熱がない人にたちに火をつけてまわってもダメだと、また私もラースさんに諭されたような気がした。


うまく立ち回れない自分を思って泣いたんだと思う。
でも、そうじゃなくて、関わってる人の中に、情熱のある人を探そう。情熱を感じでもらおう。私がやりたいと思っていることをちゃんと、、、それはなにも日本の企業の事なきを良しとする人たちのためじゃなくて、その先にいる、優秀なの担当者たちに、伝えよう。
全部やって、それでもどうにもならなかったら、選択肢はいっぱいあるじゃないか。


それでも、任されたからにはこの製品を形にしたいんだ。。。


と、言う思いが溢れたんだろうと思う。
中央線で、多分周りの人がひくほど涙を流していたと思う。
(よほど苦しいのか、これを書いてるスタバでも結構人がひくほど泣いている。まぁー誰も気にしないから、まぶたが少し重くなるくらいでなんとかなるだろう。)


そうか。
情熱を持たない人に火をつけてまわってもダメなのか。


なかなかに私もラースさんの言葉に救われた思いがした。


そんな感じで、必ずしも著者の加藤さんが語ったことではない場合でも、彼とはまったく違うけれど、多くの言葉が刺さり、時に台湾を思い、時に家族を思い、時に今いる日本の企業を思った。


家族のことがあると人生はなかなか自由にはならない。だけど、それがなんだろうか。サラリーマンだから、何ができるんだよって思いもある。それでもスタートアップにしかできないのと同じくらい、大企業にしかできないこともある。


そこにいる、本当は情熱を持つ人たちに、働きかける。何度でも、何度でも。


そんなことを思った。



そんなジェットコースターにでも乗っているような読み方をしていたので、他の本とは本当に異なる良いものを読ませてもらった。


この熱気はどこからくるのか、ずっと不思議だった。


でも、謎は後書きで解ける。


もともと成功物語を書こうとしたのではない。
成功したから、後付けで本を書いたわけではない。


私はその連載をまったく知らなかったけど、リアルタイムで連載し、その時起こっていることを包み隠さず書いた。


そのことがこの熱さとなっていて、それが、彼の伝えたかったことで、それは、少なくとも、私にはすごく伝わる本になってた。


最終的にうまくいったことを後から振り返ると、こんなことまでやって頑張ったよって成功の法則を描きたくなる。


でも、ほんとは違う。
悩みながら、変えていった仕組み。
その仕組みを作り上げる時、絶対うまくいくと思ってない。どちらかというと、後悔にも似た、どうしてもっと1日でも早くこれに気がつけなかったんだろう?どうしてもっと早く確信に変わらなかったんだろう。
いつも祈る気持ちで結果を待つ。


でも、それは、その時に起こっていることで、その時必死なことで、その時でないと書けないのだ。


だから、この本は尊いと思う。


スタートアップの成功物語が知りたい人ではなくて、情熱を持って何かに取り組んでて、そのことに祈る気持ちでいる全ての方に届いたらいいと思う。


まさに、クレイジーだ!



author:ぷぅコッコ, category:ビジネス書感想, 16:10
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