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【読書】原因と結果の経済学


「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法



原因と結果の経済学
真実を見抜く思考法
と題されたこの本の大きな命題は
「相関関係と因果関係」の違いを正しく認識させることにあるようです。


この「相関関係と因果関係」と話
私は今から二十うん年前、高校の先生が口を酸っぱくして言っていたことを思い出します。


相関関係というのは、
見かけ上、「なんとなく同じ傾向がある」
けれども、その二つはどちらかを積極的に変化させた場合、その結果として、相手側が同様の傾向を示すという関係には「ない」ということを意味します。
つまり、二つの間に、関係はないってこと。


例えば、景気が上向いているときに、自社製品を売るために「広告をうった」すると、見かけ上、去年よりも売り上げがあがった。
という事実があったとして、
このとき、「広告をうったこと」と、「自社製品の売り上げが上がったこと」の関係は?

「相関関係」なのか?

それとも、広告をうったことが直接売り上げに寄与した?
「因果関係」があるのか?

もしくは、広告をうたなかったとしても、景気がいいので、売り上げは同程度に上がったのか?


広告には一定の投資が伴うのだから、もちろん効果が出てくれないことには意味がないし、もし、広告をうたなくても、売り上げが自動的に上がるような環境が揃っているなら、そもそもその投資分が「無駄じゃないか?」そんなことを思います。

いわゆる投資効率みたいなやつね。

じゃーその効率ってやつを知るために、「この投資、この場合は広告がどれほど売り上げに寄与するのか?」ということを知るためには、どんなデータを取ればいいのか?

もしくはすでにある過去のデータから「正しく」広告の効果を示すためにはどうすれば良いのか?


そんなことを丁寧に教えてくれている構成になっています。


ざっくり読んだ感想として、なんとなくエンジニアの端くれにいる私としては、「そりゃそーよね、当たり前じゃない?」と思うことも、実験の前提としてあるわけだったりします。


だけれども、これが「人に関わること」になると、じつに難しい。


実験の手法、やり方は一緒でも、
例えば「喫煙における肺がんの発生率」を喫煙の有無で差があるかどうか?
ということが知りたいとして、
ランダムに人をピックアップして、
「あなたは、喫煙してください。」
「あなたは、喫煙しないでください。」
と言って、好きに選別し、肺がんが起こるかどうか?それを比率にして直接比較するという実験データを取ることは「できない」のですよ。


人をランダムにピックアップして、実験することはできないんです。

人は一人一人、統計上の数字ではなく、生きておるわけで、そんなことに進んで参加してくれる人はまーまーいないわけね。


そこがものすごく難しい。


では、今あるデータから「なんとなくそうっぽい」ものは、事実として正しいのか?と言われると、実はそんなこともない。


その関係は「相関関係」なのか?それとも原因と結果のはっきりした「因果関係」がそこにあるのか?手持ちのコマから証明しなくてはいけない。


そんな検証が絶対的に必須です。
ということを説いているのです。


何かの施策を行なったとして、それがどんな効果があったのか?もしくはなかったのかということを「正しく」検証するというのは、かくも大変かと。。。


高校時代、証明問題に苦しめられた私としては苦々しい思いがしたんですね。


さて、今の時代はビッグデータだ、AIだといろんな技術、技法が増えてきて、「なんとなく確からしい」けれども、全く因果関係がない、つまり、周りの環境が変わってしまったら、同じことをやっても同じ結果が得られる保証がないということは実はめちゃくちゃいっぱいあるんだけど、この「なんとなく確からしい」がすごく危険なんだよね。


そこをもう一段、掘り下げて、「これは本当に因果関係があるのか?」を考える癖をつけるというのが、本書の狙いなのではないかと思ったりしてます。


重要なことだけど、なかなかできないよね。


こういう社会実験ではなくて、通常の科学実験やらなんやらですと、一生懸命に「これと、これの因果関係を明らかにして」なんてことが染み付いてるはずなのに、こと、自分の生活になってみたりするとすっかりそんなことは忘れて、「なんとなく確からしい」と思うことに踊らされていることなんて、いくらでもあるなぁと、本を読みながら「いたたたたた」と思ったのです。


例えば、うちの息子さんたちは、「ゆとり教育」が終わってから学校に入った世代なので、自分たちが勉強した頃とあまり大きく違いもないくらいには勉強させられております。


ゆとり教育が終わったと知って、自分の子はゆとり教育じゃないと知った時、正直、「良かったなぁ〜」と思ったんです。


でもね、とかく「ゆとりはダメだ」みたいな論調しか世間にはないんだけど、そんな壮大な社会実験みたいなことをしておきながら、「ゆとり教育」によって得られた「正の遺産」に関する検証はなされていないよなぁと思うんですよね。

本当は効果があるはずでしょ?


それは必ずしも学力で測れることじゃないかもしれないけど。


そんな風に、せっかくデータはあるのに、検証は?
と、思う時、相関関係に惑わされることなく、正しい答えを導き出すのは、簡単ではないよね〜と思う。


そして、仮に正しく検証したとして、社会全体としては、よくなることが証明された施策だとしても、それらの恩恵を個人として受けられるかどうかは、また別の話しだったりする。


みんなが幸せになる方法ってのはなかなかに難しい。


それでも、「より多くの人を今よりも良くする」ということは、できるのかなって思ったり。


つくづく、簡単ではないなと。


それでも、逃げちゃダメよね。


少なくとも、今言われていることは、「本当にそんな関係にあるのかしら?」と疑ってみるってのがこの話の入り口かもね。


頭の体操みたいな感じで、オススメの一冊でした。


今更ながら、「相関関係と因果関係って、言葉は知ってるけど、意味がよくわからないのよねぇ〜」って方!
必読です!!












author:ぷぅコッコ, category:ビジネス書感想, 20:30
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